レビュー
この作品は、小柄で元気に歌う姿から"エデット・モーム・ピアフ"…「ちっちゃなスズメ」と名付けられる事になった世界的なシャンソン歌手、エデット・ピアフの一生を描いた伝記的映画だ。
エディット・ピアフと言えば、今まで歌以外の部分では単純に"天真爛漫、自由奔放に生きた女性"という切り口で語られる事が多かった。しかし、この映画では、心細い日々ばかりであった幼少期をしっかり描く事で、エディットの心の陰がなんだったのかを読み解けるようになっている。
周囲に対しわがままを振舞い、時に薬で自分を誤魔化す…それはすべて絶えず愛に飢え孤独感から逃れられなかった彼女の悲しみの裏返しなのだ。
そうした姿と平行して、偉大な歌手となった彼女のように天賦の声量を持ちその上に技術を磨いた人でも、自分をただがむしゃらに打ち出だそうとするのでなくでなく、本当の歌手としてどう表現すべきか、どう人々の求めに応えるかに苦心もしていた。
彼女ほどの大物であってもステージに立つ事に震える程怯えたりしていたというのは、必ずしも孤独から来る不安な気持ちのせいだけでは無かったのではないか…
そういう意味で越路吹雪の「愛の賛歌」を良く聴かれた年配の方たちがノスタルジーとして楽しむだけでなく、今の若い人たちの中で特にショー・ビジネス、音楽全般で身を立てようと少しでも考えている人にとっても、このエディット・ピアフの物語は必須だ。
是非とも『エディット・ピアフ 愛の賛歌』を観て勇気を貰って欲しい。そして出来れば彼女のように素晴らしいステージに立つ人となって欲しい。
最後に…エディットの若い頃〜最期までを演じたマリオン・コティヤールは実際に唄も抜群だそうだか、そんな好奇心はどこかへ忘れ、ひたすら彼女の演技に見入ってしまった。映画のモチーフと彼女の演技はとても良くマッチしていて大変上質な映画に仕上がっている。
T,Tomonaga. 2007/7/25 試写