5/8映画「アンジェラ」公開直前マスコミ記者会見に先立ち、丸ビル「マルキューブ1Fスペース」では映画のプローモーションが催された。この手の公開イベントには珍しく何とリュック・ベッソン監督とリー・ラスムッセン本人たちがサプライズで登場。
広大な吹き抜け横の長いエスカレーターから突如現れた長身の女性…その人がレッドカーペットを辿り特設ステージへ颯爽と登るリー・ラスムッセン。彼女の余りに可愛らしい姿に居合わせていた一般の人達からも思わずため息混じりの歓声が上がっていた。
一方の監督はマスコミ会見場へ移動すると、真剣そのものの熱い語りべとなった。途中、映画記者会見に馴染まない質問が向けられた際には、落胆の色を全く隠さず切り返した辺りに、ベッソン監督の"自分に正直に映画を撮る"と言われる部分も感じられた。
公開イベントと記者会見の様子の一部をレポートする。
司会 : 本日はようこそ丸ビル・マルキューブ「アンジェラ」来日セレモニーにいらっしゃいました。監督はヨーロッパコープにて積極的に後進の育成にも当たられていますが、それはどんな気持ちからなのですか?
リュック・ベッソン監督
: 映画と言うものが私に沢山の物を与えてくれました。その映画に対し恩返しになる事は映画の道具や環境を次ぎなる新しい監督たちのために用意してあげることだと思っているからです。我々ヨーロッパコープではハリウッド映画の事は尊重していますし大切な産業だと思っていますけれども、この日本も同様古くからの文化をもった我々フランスやヨーロッパの国で、アメリカのハリウッドが生み出すような大作映画を作れるよう、土壌を整えたいと考えています。
司会
: 監督とお仕事をしたリーさんはいかがでしたか?
リー・ラスムッセン : リュック・ベッソン監督と言いますと暴君である等とおっしゃる人もいるのです。でも、実はとても大きな心をもった監督なのです。映画製作の全ての面においてマスター、巨匠であるとしか言いようがありません。ですから私のような若い者にとってこれ以上勉強させてもらえるチャンスと言うものも無かったのです。アンジェラをご覧になれば皆さまにもリュック・ベッソン監督の広い心の鼓動が伝わるはずだと思います。 リュック・ベッソン監督 : 実は私自身映画中のアンジェラとアンドレ、2人の役柄に自分自身が投影できます。だからこの2人を足して割ったものが僕の良いイメージと言ったものがどんなものか分かるでしょう。私自身、自分の見た目ではなく心の中の自分は、金髪で身長も180cmあるつもりなんだよ(笑)
リー・ラスムッセン
: 私がアンジェラを演ずるなかで監督の持つ女性的といえる部分を体現しているんです。
司会 : 監督の心の広さといったもに繋がっている本当にスイートで切なく広い愛が感じとれるシーンがいくつもあって、そんなアンジェラのチャーミングな仕草には誰でもがスーっと引き込まれれてしまうでしょうね。リーさんは日本に来ていっぱい色んなものを得たのではないかと思いますがいかがですか。
リー・ラスムッセン : 私、日本食が大好きなんです。日本食をさしおいて、アタマもキレてスタイルも美しく保つ事など不可能だと断言いたします(笑)
リュック・ベッソン監督
: いま食べ物の話も出ましたが、私はアメリカ的食べ物より日本食、フランス料理が大好きです。
日本の方に伝えておきたいことは、日本の映画やヨーロッパ、フランスの映画を守ってあげて欲しいと言うことです。ハリウッド映画を鑑賞することは容易い事かも知れませんが、みなさんの一人一人が邦画やヨーロッパの映画を守ってあげようという気持ちを抱いて、成長を見守ってゆく事が大切な事だと思うからです。自国の文化をも尊重して支援してゆく…それは大事なことなのです。
司会
:素敵なメッセージを頂きました。ありがとうございます。
さて最後になりますが、折角お昼休みにお客様にも集まって頂いていますのでアンジェラの秘密でも何でもメッセージをお2人それぞれに頂けると嬉しいです。
リー・ラスムッセン
: 「アンジェラ」という映画は非常に甘く美しいおとぎ話のような作品です。是非みなさん自分の心を携えて映画館へ足を運んでいただきたいと思います。この映画の持つ美しいメッセージが今世界中で必要とされていると思うのです。宜しくお願いいたします。
リュック・ベッソン監督
: この映画を観終わったら、きっとみなさん気持ちも身体も優れてくると思いますよ。ですから怖がったりせずに観に来てくださいね。ドウモアリガト…
司会 : ありがとうございました。
(その場でフォトセッションを兼ねた和服美女2名による花束贈呈があり、小休止の後7Fホールでのマスコミ記者会見へ)
司会 : それではマルキューブでのセレモニーに引き続き、記者会見を行いたいと思います。早速お迎えしましょう、「アンジェラ」主演のリー・ラスムッセンさんです。拍手でお迎え下さい!そしてリュック・ベッソン監督です。
まずはリュック・ベッソン監督からマスコミヘの方へのご挨拶をお願いいたします。
リュック・ベッソン監督 : こんにちは。私はフランス母国のプレスよりも海外のプレスのほうが親近感を覚えます。日本のプレスのかたがたの方がお心が広く知性も一枚上手なのではないかと思います(笑)
リー・ラスムッセン : コンニチハ。ヨウコソ(拍手…司会がとてもクリアーな日本語と褒める)次回作は是非日本語で!なんて思ってるんですよ(笑)
司会
: もう是非是非お願いしたいと思います。
ではまず皆様からの質問より先に私のほうから少し質問をさせていただきたいと思います。多分皆さんもお聞きしたいと思っていことを幾つか2人にお答えいただきたいと思います。
司会 : リュック・ベッソン監督、6年ぶりという作品が完成しました。そしていよいよ日本での公開です。今のお気持ちをお話いただけますか。
リュック・ベッソン監督 : 実はこの6年もの間、ヴァカンスをとっていたわけではないんです。今年の末に公開予定のアニメーション作品に5年間関わっていました。
「アンジェラ」はこのアニメを撮った5年の合間に撮影を滑り込ませるようにして完成させたものなんです。なのでこの6年間は勿論自らの作品も撮りましたが、自社であるヨーロッパコープの作品47本の製作も進めていました。ですから毎日遊んでいたわけではないんです。
司会 : 「ANGEL-A」という意味深長なタイトルとなっていますが、このタイトルを決めることになったきっかけはなんでしょう?
リュック・ベッソン監督 : 最初の第1稿脚本の中にAngel Aというこの言葉への説明のシーンというものがあったのです。でも、このシーンは結局カットしてしまいましたから今となってははっきりしませんね。
この作品に登場するアンジェラとアンドレという2人、この人物たちは本当は一人の人物であるのです。一方は金髪で背も高く美しき神々しい女性、もう一方で冴えない中年の男…外見は全く違うのですがこの2人の存在というのは1人の人物に在る物なのだということを少し哲学的に説明したくて、このようなタイトルになったと言えます。
もうひとつはアンドレもアンジェラ同様Aの頭文字で始まる事で、2人の人物が融合して1人の人物になっていると示唆しているのです。
あの…みなさんからの質問はないのですか?司会のクロさんはもうすっかり作品についてはご存知のはずですからねぇ(笑)
司会 : いえいえ、私はもっとお話できるのが嬉しくて!でも勿論この後でマスコミの方からの質問も受けますよ〜(笑)
続いて、リーさんは監督の10作目そして今世紀最初のミューズ、ヒロインのアンジェラです。このような作品に主演にした感想をお願いします。
リー・ラスムッセン : この映画に関わりまして、まず女優として大変の名誉でしたし、これ程の喜びは無かったです。将来映画監督を志望している自分にとってこれ以上の学びの経験や喜びも無かったです。いま自分の人生が終わってしまっても、これでよかったと思えるくらいに満足した仕事でした。
司会
: アンジェラは、なかなか秘密の多いヒロインなのですね、みなさんにはどこまで明かせますか?
リー・ラスムッセン : タバコとコーヒーをこよなく愛するイケナイ女だ…ということまではお話できます(笑)
リュック・ベッソン監督 : こういう表現であっても日本の方は上品に言いますね(笑)
それともうひとつ付け加えます。この映画のアンジェラとアンドレとは光と影2人で一つをなしている…そういう事なのです。1人1人の男性女性の中にもそれぞれ男性的女性的面を持ち合わせていると思います。自分の意識に隠されている面を認めることによって、自立した一人前の男性、女性に成れるのではないかと考えます。どんなに難しくても、自分に隠されている異性面を認める努力も大切なことと思います。
司会 : リーさんはもともと超一流モデルでGUCCIの専属での活動もしていましたが、役者とモデル、そして映像を作り絵も脚本も手がける…そうした中ではどのような違いを感じますか。
リー・ラスムッセン : ファッションモデルに求められるのはただ一つ身体だけなんですね、絵を描くときは自分の魂のみ、
そして映画を演出したりする際は自分の脳を使うという感じです。今回監督と仕事をしたアンジェラではそれら総てが必要だったと思います。
司会 : 監督、これまでにも多くのヒロインを登場させてきましたが、今回のアンジェラでの象徴的な違い或いは共通点はどんな処でしょう?
リュック・ベッソン監督 : ヒロインだけでなくヒーローも出てきますが(笑)1つ言えるのはこうした事です。'70年代'80年代の映画を顧みると男性がヒーローであって女性はその後ろで泣いていたりする…そんな型で観られていました。私はそのような男が表に出て女が隠れているのではなく、どちらもヒーローとして表に出るべきです。また女性ばかりにヒロインを演じて欲しいというのでもないのです。主人公の可能性としては男も女も同様のはずです。
映画の中での女性が二次的な扱いで居ることに、何か自分に変えてゆくことが出来るはずだと思い映画を作ってきたと言えるでしょう。
――以下マスコミからのQ&Aから抜粋
Q : 今回モノクロ映画とした理由は?またその苦労は?
リュック・ベッソン監督 : 予算が無かったんです…(司会
: ウソですから、そんなのみなさん(笑))
お気づきになると思いますが、この映画では総てが対照的であります。女性は背が高くて金髪、男性は小さく黒い髪…彼は万事が怖くて彼女に怖いものは無い。総てが相反です。そして映画もまた白と黒の世界です。ニュースならばカラーがより相応しく色彩があれば特に現実性が明確になりますし、この映画のようにシュールな世界を描くには、白黒というのは詩情と言うものも素直に引き立ててくれると感じます。
ですから映画の冒頭から、これは現実なのか夢の中なのか場所さえ分からないといった感触を抱いてもらいたくて、モノクロを選んだのです。さらにこの雰囲気に貢献したのが音楽とモノクロの画像と言えるでしょう。そう言えば私の最初の作品も白黒、そして最後の映画も白黒となりました。ここで1回転めぐって来たようです。
でも、白黒にしっかり決まる前には一応色々カメラテストはしました。フィルム毎に画像の質感は違ってくるものなので、自分の気に入った質感の出るフィルムが何か改めてテストしました。まずカラーで赤、白、黄色、緑といったものが白黒ではどのように現れるかテストもして本番に臨みました。
赤の色は白黒で撮ると綺麗なグレーにはならないとか、そうした考慮を含め質感を揃えて整えるテスト作業は白黒撮影での苦労と言えるかもしれません。
映画はとにかく無の状態からつかみ出さなければなりません。どんな時でも撮影の現場は大変なもので殆ど戦争です。女性ならばより分かり易いと思いますが出産の場と似ているのではないでしょうか。痛みを伴う産みの苦しみも、10分もすると喜びのほうがとても大きくなって痛みも忘れられる…撮影の現場もそうしたものです。
Q : 映画全編で所々にアンジェラに羽が象徴的に登場しますが、どんな意味が込められていますか?
リュック・ベッソン監督 : 羽に関してはゲームの中に隠される宝物ように散りばめました。羽が色々な場面で出てきますが、この映画を2回3回と繰り返し観ても毎回その羽が違った意味で感じられるでしょう。
私にとって映画はティッシュのような使い捨てのものではなく、何度も何度も見返し考えてもらえるほどその映画は素晴らしいものになってゆくのだと思います。そういった意味でもこの羽は宝探しゲームの宝やヒントでもあります。
私たち人間は平面の移動は自由に出来ても、高さの方向には不自由しますね。羽は決して自力で辿ることの出来ない"空"を象徴しています。
Q : 6年のブランクを隔て、久しぶりに監督作品を手がけることとなったその心境は?また初回監督作品が白黒で今回の10作目でまた白黒と言うことで一回り巡った…とおっしゃいましたがそれまでの心の変化などあったらお話ください。
リュック・ベッソン監督 : アンジェラの初望試写をしたときにとてもショックを感じました。「私は自由である」というアンジェラの最後の台詞が何と私の初監督映画のそれと全く同じだったからです。全く偶然のように私は最後とした10作目をこの台詞で締めくくっていました。25年間映画の世界で作品を手がけてきましたが、今ほどこの台詞のように自由を満喫しているときは無いです。
作品の成功やその名声、そうしたものの蓄積により、ハリウッドからはもっと商業的で大規模映画を監督するようにプレッシャーをかけられたりもしました。でも、そんなプレッシャーもある中で、敢えて今こうして極シンプルなままの構成作品を発表出来ることに、周囲の監督仲間からは凄く勇気があるね…とも言われますが、私にとってはコレこそが自然体であり、自分の作りたいものを作ると言う事の証なのです。
1人の男としてこの世に生まれて、絶えず自分が何者なのかと言う命題に対しています。単に自分は自分が決める…そんな風に自分自身を受け入れることが出来るようになってきたのだと最後に付け加えさせてください。
司会 : どうもありがとうございました。と言うことはみなさんあと2回3回ご覧になって欲しいと思います(笑)リッュック・ベッソン監督、リー・ラスムッセンさんでした。
2006/5/8 東京丸の内 丸ビル 「アンジェラ」来日記念セレモニーはマルキューブにて、記者会見は7Fホールにて。司会進行映画パーソナリティー襟川クロ
T,Tomonaga
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