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| ■映画「やさしい嘘」来日記者会見
エステール : こんにちは。日本語も英語も出来ませんので、フランス語でこんにちはと挨拶させていただきます。今回初めて日本、東京に来ることが出来まして大変嬉しいです。またきょうは皆さんにお集まりいただきまして本当にありがとうございました。 司会 : ようこそお越しくださいました。さて、エステールさんは85歳で女優デビューを果たして、この「やさしい嘘」でもすばらしい演技を見せてくださったわけですけれど、実際にご自身でこの映画をご覧になっていかがでしたか? エステール : 司会 : では早速ですが質問を承っていきたいと思います。質問のある方は手を上げていただけますか? Q : 日本にようこそいらっしゃいました。日本に初めていらっしゃいましたが、まずどんな感想をお持ちになりましたか? エステール : Q : エカおばあちゃんが映画の中で息子の死を知ったときにとった態度は、事実を受け入れていて、しかも家族が自分のために嘘をついてくれていたことを思いやっていた態度が素敵だと思いました。それでエステールさんもご自身の人生の中で、ユダヤ人収容所に入れられたなど色々つらい事があったと思いますが、そういうときに自分の心の支えになった辛い事を乗り越えていくための心構えはどういうものなのでしょうか? エステール : 当時私はとてもラッキーでした。その時代を基本的にはフランスで過ごしたのは大変ラッキーだったと思います。あの時代大変な目にあったのは私一人でなくて、本当に大勢の人々が同じように大変な経験をしたわけです。またその経験をした人、周辺にいた世界中の人たちが悲しみの時代を過ごしました。しかし幸い今はその時代が終わって今私たちはまた別の時代を生きています。今私たちを取り巻く環境にはやはり大変な苦しみもありますが、人間の歴史を振り返ると難しい時期があり、それが終わり、また新しい時代を迎えて、そしてまた難しい時代になるというその繰り返しです。今私たちが生きているこの時代もいずれ終わり新しい時代に入ってゆくでしょう。そういう意味でどの時代に生きようと希望はあると思います。 司会 : ということは心の支えになっているのは前向きに希望をもつ…そう言うことでしょうか? エステール : 希望をもつのは素晴らしい事です。古代から始まって今の時代に至るまで私たちは本当に様々な時代を過ごしてきて来ましたが、時代時代毎に終末があって次の時代を迎えてきたわけですから、新しい時代に希望を持ち続けるのは大事だと思います。 司会 : Q : 日頃から演じるために心がけていること、また演じることはあなたの人生にとってどういう意味がありますか? エステール : 重要なのはその結果だと思っています。演技をすることは簡単なことではなくむしろ大変難しいことです。私は始めから女優だったのではなく、この道に入ったのはどちらかというと遊び半分で演技の道に入りました。しかし実際に中入って演技をしながら色々な難しさを経験しましたし、色々な状況を受け入れながら前に進んでゆかねばならないこともわかりました。それぞれの作品でそれぞれの難しい役どころを終えた後のその結果で、その結果があるから到達感が感じられて今に至っています。 Q : 今回の映画のタイトルが「やさしい嘘」ということですが、エステールさんがついた人生最大の嘘はどんなことでしたかお伺いしたいのですが? エステール : 自分がついた嘘を考えてみると、真実を言わないということはあっても、嘘を言ったということはないと思います。嘘をつくのは難しいと思います。 Q : この映画の見所と、映画を通して伝えたいメッセージがあれば教えてください。 エステール : とても感動的なシーンが、最後のエカおばあさんが孫娘と別れるシーンです。
あのシーンではおばあさんは孫娘と別れるのがとても辛く悲しいのですが、将来を考えるとその悲しい別れもひょっとすると幸福につながるのかもしれないと、そんな希望をもって受け入れることにするのです。 司会 : はい、ありがとうございました。続いてご質問はありますか? Q : これからやってみたい事や夢があったら教えてください。 エステール : 世界の平和、世界が平和になることが私の夢です。個人的には特に新しいことは考えていません。 Q : 映画でも3世代に渡っていて(人生の先輩者として)大ベテランでいらっしゃいますが 、大変若い女優さんたちやベテラン俳優さんたちとの競演の中でエピソードなどありましたらお聞かせください。 エステール : (娘役と孫娘役の)二人の女優さんたちとは大変気が合いましたし、彼女たちと演じられたのはとてもラッキーでした。そんな彼女たちとの競演でしたから大変良い雰囲気の中で撮影も終えることが出来ました。それ以上に素晴らしかったのは監督さんでした。大変やさしい監督でしたし監督としても大変豊かな才能を発揮していました。作品というのはあくまでも監督のものでありますし、素晴らしい作品に出会えたのは私にとっても良かったと思います。 司会 : そろそろお時間が迫ってまいりましたので、ごめんなさい私のほうからもひとつ質問させてください。 エステール : 孫たちにはこの映画に出ていた事は知らせずに、いきなり試写会でこの映画を見せました。みんなとても驚いて「おばあちゃんなにやってるの…どうしたの!」と言う反応でした。同じ世代からの反応ですが、この映画はフランスではとてもヒットしましたので、大変良い反応ではなかったのではないかと思います。フランスでヒットしたことについては私も驚いています。日本でも是非たくさんの人たちに観て楽しんでいただけたらと思います。日本語で直接お話が出来たらどんなに良かったかと思いますけれど話せなくて残念です。 司会 : ほんとうにかわいらしいおばあさまで皆さんの心にも通じていると思います。 (一同拍手、挨拶と共にえなりくんから花束を贈られるも、いったんそのまま帰ろうとするエステール) エステール : 日本で大変人気のある俳優さんだと伺っていて大変楽しみにしておりました。 えなり : どうもありがとうございます。 エステール : あなたの将来はこれから本当に開けていると思いますし、必ず成功すると思っています。 えなり : そう言って頂けると光栄です、ありがとうございます。がんばります。 エステール : とても魅力的で素晴らしい俳優さんだと思います。 えなり : そうですか! あのどの辺りが魅力的でしょうか?(笑) エステール : いまこれが!とは言えませんけれど、身体中から発しているそういう魅力を感じます。 えなり : ありがとうございます。(一同笑) 司会 : さて、えなりさん、まずエステール・ゴランタンさんにお会いになってその印象は? えなり : 先ほども一度お会いしているのですけれど、表情が非常に豊かで、どんな人生を送れたらこういう表情が出来るのかと、本当に羨ましくお会いさせていただきました。これから私もこういう表情ができるようになれたらいいなと思います。 司会 : それから映画をご覧になっていかがでしたか? えなり : 先ほどもお話がありましたように素晴らしいなと思ったのですが、やはり85歳で映画デビューされ、それであの表情でありますとか…お芝居とか、お芝居って言うのはいかに人生経験をつんでいるのか、そういうことで表情や台詞の言い方とかが出てくるのだなと、本当に正直に思いました。ですからプライベートはもちろん、充実した人生を送ってやはり俳優としてもこういう表情を出したいなと思いました。頑張ります。 司会 : エステールさん、えなりさんの話を聞いてどうですか? エステール : あの、日本語が直接理解できなくて大変残念なのですが、先ほどもお話したように大変素敵な俳優さんだと思います。本当に日本語が話せなくて残念です(笑) 司会 : では早速ですがえなりさんへ質問のある方いらっしゃいますか Q : 敬老の日が近いのですけれども、えなりさんはおじいちやんおばあちゃんにどんなものを送りたいと思うのか、それとエステールさんはお孫さんからどういうことをしてもらったりプレゼントが嬉しいと思うのか教えてください。 えなり : そうですね、私としては最近は気持ちが一番なんだなと思っています。今は遠くに祖母が住んでいますからあまり直接会うことができないのですが、できれば肩たたきとかそういう気持ちが伝わるようなことをしてあげたいなと思います。 エステール : 孫たちからの何かプレゼントより、この映画を見てもらった観客の皆さんの拍手のほうが嬉しいです(笑)それ以上のプレゼントはありません(笑) 司会 : その中にはきっとお孫さんたちの拍手もあると思いますね。 Q : 俳優としてはえなりくんのほうが先輩だと思うのですが、アドバイスやら何かありますか? えなり : ないですよ! 勘弁してください(笑)いやいや僕はもう先輩後輩は年齢で分けますから、一歳でも年上でしたらさん付けで呼んでいますし、そんな大それた質問は勘弁してください。 エステール : これからもこのキャリアが素晴らしく花開いてゆくと思います。この仕事の中で沢山の喜びを見つけてください。 司会 : もしえなりさんがエステールさんと競演できるとしたらどんな役どころになりたいですか? えなり : え〜もし競演するとしたら…そうですね…もし同じ言語で話せているとしたら… えなり : そうですよね(笑) 司会 : えなりさんどうですか?さっき言いかけていましたけど… えなり : あ、それはシナリオにも依りますし、(一同爆笑)どこの言語を使うかによって違いますので、そう言われましても困るので… 司会 : 大変失礼いたしました(笑) Q : えなりさんでなくエステールさんへの質問になりますが、長い人生を過ごしてきた中でお若い頃には女性の方が映画監督をすることもあまりなかったと思いますし、これまでいろんな意味で女性の変化があったと思います。ここでは孫娘たちに未来を託すエンディングがとても気に入っているとおっしゃっていましたが、これまで歩んでこられた時代の中で女性の変化のありようや、今後女性たち、孫娘の世代ががどんな風に生きていってほしいかを、また90年間の女性の変化をどんなふうに考えているか是非伺いたいです。 エステール : 女性たちを取り巻く状況がとても変化してゆくのは、これは極々あたりまえのことです。何も驚くべきことではないでしょう。すべての女性たちにも自由な権利があって、なぜかつてのように男性社会の中で拘束されなければならないのか、そういう理由はありません。ですからこれからも女性たちはより以上に女性を取り巻く環境は変わってゆくと思います。 Q : 孫たちが元気でいる姿というのがおばあちゃん世代には嬉しいことでありますが、えなりさんがおばあちゃん世代に対する特別な気遣いはありますか? えなり : 若い者が一生懸命生きているというのが、自分の本当の孫にしても孫の世代を見るにしても、若い者が頑張っているなあというのは本当に嬉しい気持ちだとは思います。ですから僕が出来ることというのは、ひたすら今までやってきたことを更に一生懸命やることだと思いますし、私から見たおばあちゃん世代の方に対しても10代の人間がいかに一生懸命生きているかというのを見せて行くのがすべてだと思うのですけれど…どうですか。 司会 : どうですか? エステール : あの、おっしゃる通りです。 えなり : あっ…そうですか(一同笑) 司会 : 同意されたということで(笑)
2004/9/17 渋谷セルリアンタワーにて text & photo : HUIT
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