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物静かなヤン、行動派のピーター、そしてユール。
この映画を観ながら感じたのは、憤りを感じる部分が至る所にあるということ。このように感情を刺激される映画も珍しいのではないのだろうか。 自分の立場によって、誰の行動、考えに憤りを感じるかというのが、人によってかなり異なっているだろう。 置かれている立場や環境によって、誰に共感をおぼえ、誰を嫌悪するのかが、全く逆の可能性もあると想像でき、興味深い。 セキュリティシステムや犯罪捜査などに疑問点もあり、腑に落ちない設定もあるが、メッセージを発信するという意味では成功しているのだろう。 この映画を観て、人生について考えを巡らせない人はいないだろうと思われるからだ。 若い世代にとっても、人生を生き抜いてきた世代にとっても、今までの行き方やこれからの生き方を再確認しないではいられないだろう。 今後どのような価値観が世の中を支配していくのか、社会のあり方に対しても考えさせられる作品となっている。 記者会見場のダニエル・ブリュールは素直で誠実そうな雰囲気で、ヤンのような頑ななタイプではない。 けれども映画の中では根っからヤンのような性格のように自然に演じている。 ピーター役のスタイプ・エルツェッグはルックスも良く、キャラクターがぴったりとマッチしていた。ジュリア・ジェンチが扮するユールはどことなくいい加減な部分を持っているキャラクター。彼女も自然に演じていた。 最後に、音楽(ジェフ・バックリー)が軽快で良い感じに仕上がっていた。
ダニエル・ブリュール、ハンス・ワインガルトナー監督 ! 2005年1月19日、スペースFS汐留の舞台にハンス・ワインガルトナー監督と、主演のダニエル・ブリュールが登壇し記者会見を行いました。
「グッバイ、レーニン ! 」で話題になった主演のダニエル・ブリュールは初来日です。 【舞台挨拶】 ハンス・ワインガルトナー監督 ダニエル・ブリュール 監督 : 今回私がダニエルを起用したのは実は2回目でして、私が初めてとった長編映画「ホワイトノイズ」という映画にダニエルを起用しまして、この映画自体非常にたくさんの賞を受賞しております。ダニエルが受賞した賞が"ドイツ映画賞"という賞でしてドイツのオスカーと言われている賞です。この作品の後にこの"ホワイトノイズ"が日本で公開されればいいなと思っております。 【質疑応答】 Q:監督へお聞きします。どのようなメッセージを込めてこの映画をお作りになったのですか? 監督 : 実は具体的なメッセージというのはありませんが、若い人達というのは通常社会を変革していきたいとそういうことを考えているはずなんですけれども、今現在、そういった変革への熱意というものが若い人の間で埋もれていると思うのです。そういったことをこの映画によって揺り動かしたいと思ったので、この映画を見た人から"これではいけないんだ、今のままではいけないんだ"といったようなことに気がついてもらいたかった。つまり、そういったエネルギーがまた社会にあふれ出れば、そういった願いを込めてこの映画を作りました。 Q:映画を拝見しました。とても若者の情熱など力強く描かれているよい映画だと思いました。今、日本では去年の秋頃からチェ・ゲバラのブームが再燃したりとか、思想的には革命ムードというのはあるのですが、実際に行動を起こすという人はほとんどいません。実際ドイツではどうなのでしょうか?若い人達の間で具体的なムーブメントや動きというものはあるのでしょうか、お聞かせ下さい。 監督 : 今ちょうど若者が行動を起こしている段階にあると思います。例えば、具体的な行動を起こさなくても消費一辺倒の生活に対してとても批判的な考えや見方になってきていると思います。実際ドイツのバンドで消費一辺倒の生活を批判する曲を書いて成功しているバンドもありますし、社会そのものに対して、体制そのものに対してとても批判的な見方が出てきていると思います。 Q:ダニエルさんは現在の若者についてどう思いますか? ダニエル : 私自信は監督ほど楽観的な見方はしていないのですが、社会を変えていかなくてはいけないと思っている人はたくさんいると思います。そういう考え方をとりはじめた人というのがちょうど私と同世代くらいの人が多いのですが、その世代の後の人達を見てみるとやはりマスメディアとインターネットによって目がくらんでいる状況というのでしょうか、その気づくまでの状況にいっていないと思います。 Q:こういう映画は都会などビルが林立したところや非常に狭いところ極限されたところで起こることが多いと思うのですが、この映画は後半、非常に美しい大自然の中で展開されるのがとてもユニークだと思いました。こういった大きな自然と人間との対比のなかで自然が人間の心にあたえる影響などを考えて設定されたのでしょうか? 監督 : そのつもりで山のシーンを撮りました。人というのはやはり自然におおきな影響を受けると思っています。そうでなければ、映画の中でああいった山のシーンを入れたりしなかたと思います。ベルリンからチロルまで1000キロもあります。理論的に考えて誘拐した人を車にのせて1000キロも離れたところへ走るというのはおかしいわけです。ただし山にいってみると日常の日頃の問題がいかに小さなことであったかということに気づくわけです。少し高いところから自分の日常を振り返るということです。 Q:医学系の雑誌社にいる者ですが、監督は神経学を学んでおられたようですが、そういった素養が映画を作ることやこの作品を作るにあたって活かされたり反映されたりといったことはあるのでしょうか? 監督 : もちろんすごく役にたっていると思います。それは分析的な思考をするという癖が身についたということがとても大きなことだと思います。やはり、映画をつくるということは深くまで掘り下げる作業ですので、ややもするとこんがらがってしまって、にっちもさっちもいかなくなってしまうという状況になってしまうので、そういうことをしなくて済むということに役だっていると思います。 ※この質問はネタバレを含みます。 監督 : 映画の中では革命を起こさなければならない理由を長々と述べる必要はなかったと思っているので本来は3人のプロフィールがきちんと決まっていて撮影はしたのですが、この映画には必要ないと思い削除しました。むしろこの映画は革命の起こし方をどうしたらいいかということを描きたかったので削除したのですが、ヤンが26歳、企業の社員食堂のコックをしています。育った環境は非常に貧しくて児童施設で育ちました。ユールは24歳、ピーターは27歳。ピーターは労働者階級の息子で、ピーターとヤンは子供の頃からの知り合いとなっております。ピーターの職業は家具の梱包をしていて、時々DJもしているという設定になっています。 ダニエル : ヤンはどちらかっていうと一匹狼で、唯一の無二と呼べる親友がピーターでそれ以外はあまり友達をつくらない、どちらかっていうととっつきにくいタイプではないかなという感じで役づくりをしました。女性関係は、ユールがはじめて本格的な恋愛関係という感覚で、童貞である必要はないかもしれませんが、過去の体験においてあまりよい体験がなかった、というような感じで演じました。 Q:さきほど若者の熱気が失せているとおっしゃいましたが、ベルリンの壁の崩壊以降、あのあたりから国全体の表面的な情熱が失せているということですか? 監督 : 若者達の情熱が失せてきたというのはベルリンの壁の崩壊とはあまり関係がないように思います。むしろ先進工業国においては徐々に全世界的に若者が政治にあまり意欲を示さないという時代を得てきていますので、おそらくそういった理由なのではないのだろうかと思っています。 ハーデンベルクに対してどうゆうスタンスをとっているかということなんですけれども、自分は映画監督としてはそれぞれの役柄に対して中立的な立場でいようと心がけています。最後にハーデンベルクが警察に通報したということに対して、通報したからあいつはけしからん奴だというわけではなくてそういう人が実際本当にいたとしたならば、そういう人は非常に弱い人なんだと思っています。人間というのは性悪説、性善説とかではなくて、むしろ環境の産物であると思っていますので、ハーデンベルクは自分の世界観から抜け出す強さを持ち合わせていなかった人物ということになるわけです。観客として観た時にはどちらに共感を覚えるのかということになると、当然若い3人に共感を覚えるということになるわけです。 ハレルヤですけれども、あのシーンの心情を強調する意味をもって使いました。ハレルヤというと「壊れたハレルヤ」なわけですけれども、つまり一方で悲しい、例えば別れなど悲しいけれども別れがあるとまた新しい出会いがある。悲しいのだけれどもなんとなく素敵だ、といった雰囲気を強調するつもりで使いました。
Q:ヤンと自分はちょっと性格が違う、自分は行動しないとゆうふうにおっしゃっていましたが、ヤンという役を通して、また実際この作品に出てみて何か新たに感じたことはありますか? ダニエル : 実は、あの映画の役をやってみて違う世代で起きたことを勉強できた、ということがよかったことだと思っています。自分達の、私達の世代にとって68年のドイツの革命の時代、あるいはドイツ赤軍というのは、実はもう遠い過去の世代のことで今ではまったく、少なくとも私の世代の仲間の中にとって、意識のなかで反映されていない、何も痕跡を残していない、そういう出来事なのです。自分自身についてはいつも社会情勢について敏感でなければいけないということで、ニュースを見たり新聞を読んだりとかはしています。また監督から68年とかドイツ赤軍とかの本をもらっていろいろ勉強したりとか、ハーデンベルクの役をやったブルクハルト・クラウスナーは、彼は映画の役の中だけではなく実際に68年の学生運動に加わっていた人物なのでその彼から撮影中にいろんな話を聞けたりしてとても勉強になりました。また非常におもしろいなと思ったのは、私の父なんですけれども68年世代よりもう少し上の世代なんですが、父も革命の映画を撮っていますが、学生運動の映画は撮っていなかったということで、世代が違うとこれだけ違いが出るのだなと勉強できましてとても参考になりました。
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