『ハンニバル・ライジング』来日記者会見
at ハンニバル・レクター 記憶の宮殿
作品情報
『羊たちの沈黙』('91 アカデミー主要5部門受賞)から始まった天才犯罪者ハンニバル・レクター博士にまつわる物語の最新作がこの『ハンニバル・ライジング(HANNIBAL
RISING)』となる。
今作では原作者トマス・ハリスが初めて自身でシナリオを手がけ、今まで語られることの無かったレクター博士の出生の秘密や殺人鬼レクター誕生の謎にまで足を踏み入れているという。
また世界中の観客を震え上がらせたアンソニー・ホプキンスの演技、そのレクター博士の若い姿を一体誰が務めるのか大変な期待が高まっていたなか、その青年役として大抜擢されたのがこのところ最も注目されている美形俳優ギャスパー・ウリエルだ。
そしてこのギャスパー・ウリエル演じる若きハンニバル・レクターが真っ先に影響を受けたのが、この、日出る国…日本とその文化なのだ。
会見でのギャスパー・ウリエルは自ら日本贔屓と言うだけあって、とても前向きに会見に臨み、口調も快活だった。
終始明るさを絶やさず評判通りの美形俳優であったが、時折シャイさが見えたりする辺りは日本の観客には今後益々好かれてゆくキャラクターだろうと編集者の目に映った。
その若きハンニバル・レクターを演じたギャスパー・ウリエルとピーター・ウェーバー監督、マーサ・デ・ラウンレンティスプロデューサーの来日記者会見の模様を伝える。
司会
きょうはアンソニー・ホプキンスに代わって若きハンニバル・レクターを演じましたギャスパー・ウリエルさん、そして初来日となる監督ピーター・ウェーバーさん、そしてシリーズでプ
ロデューサーを務めるマーサ・デ・ラウンレンティスさん3名での記者会見となります。
映画史に残る連続殺人犯となったレクター博士に影響を与えたジャポニズム…とは、一体何なのか。是非この機会にハンニバル・レクターの脳内を深く探っていただきたいと思います。
それでは来日メンバーの登壇です!(凝った演出の中、ギャスパー・ウリエル、ピーター・ウェーバー、マーサ・デ・ラウンレンティスが登場)
登壇者挨拶
ギャスパー・ウリエル : コンニチハ…きょうこうしてみなさんの前に来られて大変嬉しく思います。今までで一番美しい記者会見なのではないでしょうか。
この国は本当に大好きな国でもう5回も来ています。その国のみなさんがこうして外国の映画に寄せて下さる尊敬の念に応えるため、映画のプロモーションに来日出来た事を大変嬉しく思います。ありがとうございました。
ピーター・ウェーバー監督 : コンニチハ。こうして日本に来られました事を大変嬉しく思います。ギャスパーと違い私は日本に来るのは初めてです。でも日本と言う国の大ファンでありますし、日本の生んだ偉大な監督クロサワ、オズそのほか尊敬するものがあります。
そしてきょうは特別なワインと脳スイーツを事前にお召し上がり頂いたと聞きました。それら楽しんでいただけたら幸いです。オイシカッタ?(日本語で)最後に、記者会見に集まっていただきありがとうございます。また是非この映画を楽しんでください。ありがとうございます。
マーサ・デ・ラウンレンティス(プロデューサー) : コンニチハ。このような素敵なイベントを催してくださいました配給の東宝東和さまに大変感謝いたします。ハンニバル・シリーズでは3度目の来日となります。7年前の「ハンニバル」ではアンソニー・ホプキンスと一緒に来ました。そして今回はギャスパー・ウリエルという新しいスターを皆様に紹介するため来日しております。この記者会見でみなさんの色々な意見をうかがうのを楽しみにしております。ありがとうございました。
司会 : はい、ありがとうございました。それではみなさんからの質問を頂きましょう。
Q : ギャスパー・ウリエルさんについて、「彼にはちょっと壊れたところがあって、そこがまたすごくおもしろいんだ!」と製作ノートに書いていましたが、それはどんなことですか?また撮影中になにかエピソードがあればお話ください。
ウェーバー監督 : いえいえ、ギャスパーは見事にバランスの取れた青年ですよ。ただ彼の演技は普通の人ではたどり着けないような人間の深い心理、魂…そういた部分にも達していたと思います。そんな資質を感じたのが大きいのです。
レクターの役柄に求められるダークな部分をよりいっそうのものとする為に、肉体そのものへの慣れも必要だと考え今回の撮影前には彼を医大の解剖クラスに出てもらいました。すると彼は開口一番とても面白かったからと言って、二日目にもまた足を運んでしまったんです。
そんなふうに死体に接することが出来るのだから彼には演技では出来ない本当にダークな部分も持っているのではないかと思ったんです。
司会 : ……撮影中もその通り…ギャスパーさんは楽しんで皮を剥いだり?(笑)
ギャスパー : え〜確かにとても楽しみましたね。皆さんが思われるには、きっと暗くて殺人ばかりの映画だから俳優も憂鬱になりがちだろうな…との事だと思いますが、撮影中私はゲームのように遊びのように楽しんでいましたね。
例えば血にしても人を殺すにしてもフィクションで人工的なものですし、特殊効果のきわみです。ですから楽しくやるしか無かったです。
マーサ : ギャスパーは非常に好奇心が強いのです。何事にも細かいことにも全て好奇心を注いでいました。それがあって微妙なニュアンスを演じ分けることが出来ます。子供が持つ好奇心と言うよりも大人の持つ好奇心があって、ハンニバルを自分のものにしていったのです。
Q : ギャスパーさんは、役と自分自身とで共通部分だと感じる点はありますか?また、アンソニー・ホプキンスの演技に影響された部分があるというのはどんな点ですか?
ギャスパー : この役柄というのは自分とは全く違うものでしたから、想像力を働かせなければなりませんでした。ただ、今回はシリーズの中でも若いハンニバルでしてとてもナイーブで無垢で人間味を持っているんです。
トマス・ハリスの原作の中にも既にハンニバル・レクターの人間らしさ…それは家族のために復讐をするそういう人間的によく理解の出来る部分がありました。その他の部分では自分とは違いますし、とても怖い存在でした。
司会 : 監督がそのハンニバルを演じるために生まれてきた俳優だとギャスパーさんのことを評した意味はどんなところにあると思いますか?
ウェーバー監督 : 勿論優れた俳優ならば様々な役を演じるための技術を持っているものですが、ハンニバル・ライジングを観ればギャスパーが如何にアンソニー・ホプキンスの演じたレクター博士の絶大なイメージから見事に逃げ切り、新しくフレッシュなハンニバル・ライジングのレクターを作ったのかが一見して分かると思います。その点で彼はハンニバルを演じるために生まれてきた俳優だと確じるに至ったのです。
Q : ハンニバル・レクターが独自に持っている美学について、ギャスパーさん自身はそれらをどのように解釈しましたか?また、今回の映画に武士精神、刀、鎧兜など日本古来の様式を取り入れた理由は?
ギャスパー : ハンニバル・レクター博士は色々な文化に心を開き吸収してゆく人物です。だからとても教養も高いです。芸術音楽様々なものに優れた感性があって、そうした人物を演じるのはとても楽しいことです。
しかも原作者のトマス・ハリスは既に日本の文化を取り入れていて、武士道、仁義、名誉の掟そういうものも組み込んでいたんです。しっかりとリサーチされた日本の文化と言うものを組み込み演技出来たのはとても楽しいことでした。
司会 : ギャスパーさん自身は何か日本の芸術に造詣がありますか?
ギャスパー : 日本文化といっても、私の知っていることはとても浅く広くということになりますね。でも、トマス・ハリスが武士道を用いたのは偶然ではありません。より深く理解しますと武士道のルールや掟そうしたものが、ハンニバル・レクターの行動の仕方考え方に大きく影響をもたらしているのが良く分かります。
マーサ : 7年前に書かれた原作小説では特にエンディングは違うものとなりました。脚本のスティーブン・ザイリアンが改編してクラリスを道徳そしてハンニバルを非道徳と象徴的にし対立として扱うことにしました。
トマス・ハリスは前作のラストシーンについて「ハンニバルを故郷に連れ戻すんだ」と言っていました。そのときには私どもはその意味が良く分からなかったのですが、今回初めて若い頃のハンニバルが登場しその彼も太平洋戦争の被害者であると紹介されます。
またレディ・ムラサキというキャラクタも実は家族全員を広島の原爆投下で失っていて、彼女も自分だけ生き残っているという非常に孤立した存在として登場します。
そんな二人が出会うことによってヨーロッパと日本の違う文化が融合するさま、そうした中で特に日本の侍武士道が紹介されます。こうした様々なバックグラウンドのあってのレクター博士の美学が存在していることが大変重要なのです。
司会 : プロデューサーとしてマーサさんは長年シリーズを手掛けていますが、このシリーズの魅力をどんな所に感じていますか?
マーサ : 『羊たちの沈黙』でハンニバル・レクターというキャラクターはスクリーンにたったの10分程度しか登場しませんでした。にもかかわらず、常にハンニバルがいるという感覚が
観るものには付きまとい、常にその存在感をもたらしていたわけです。
彼への恐怖感や同情、畏怖感が漂い続ける中から、観る者は次第にハンニバルがという人物なのかという興味を抱いていったようです。
7年前に『ハンニバル』で来日したアンソニー・ホプキンスに対して日本の観衆は"なぜあのような演技をするのだ?いったいどういうわけであんな人間になってしまったんだ?"と質問攻めにしました。
それに対しアンソニーは俳優としてただ演技しているだけ、台詞を言っているだけだ…と弁明したのです。
そのやり取りの意味することは、それだけ多くの方がハンニバルのルーツをも知りだがるようになっていた…ということなのです。どうしてあのような人格になってしまったのか知りたいのだと、特に日本からそのような声が多く上がりました。
ですから我々製作サイドはトマス・ハリスに是非ともこのハンニバル・レクターという凶悪犯の若い頃始まりの部分を書いて欲しいと要望を出しました。その声で結果的にトマス・ハリス自身がこの映画のシナリオを手掛け完成したのです。
司会 : はい。ありがとうございました。(このあと3者の締めくくりの挨拶とその後フォトセッションで会見終了)
2007/2/28 六本木イベントホール
登壇者(登壇順敬称略)ギャスパー・ウリエル、ピーター・ウェーバー、マーサ・デ・ラウンレンティス3名。
司会進行 映画パーソナリティ・襟川クロ
通訳 鈴木小百合(マーサ・デ・ラウンレンティス付き)、大倉美子(ピーター・ウェーバー付き)、ひとみ(ギャスパー・ウリエル付き)
会見に先立ち会場奥では当日のマスコミに対し「レクター博士が愛した、逸品。」と称したワイン、スイーツ、そして音楽が振舞われた。それらワインのリスト等伝えられる範囲で紹介しておく。
Wine List(公開映画の順)
セレーゴ*アリギェーリ・ヴァイオ・アルマロン(赤)
1988年
「羊たちの沈黙」で、レクター博士が国勢調査員の肝臓とともに味わった、ダンテの末裔が造る北イタリア・ヴェネト州の銘酒アマローネ。
キアンティ・クラシコ・イル・グリージョ(赤)
2003年
「ハンニバル」で真っ昼間にフィレンツェのカフェで飲んでいたトスカーナのキアンティ。
シャトー・ディケム(白)
1965年
「ハンニバル」で、レクター博士がクラリスの誕生日に用意したのが、クラリスの生まれ年のシャトー*ディケム。世界最高峰の甘口白ワイン。
バタール・モンラッシェ(白)
2001年
レクター博士がお気に入りの最上級辛口白ワイン。「ハンニバル」でフィレンツェ潜伏中、贅沢に白トリュフと合わせていたらしい。
シャトー・フェラン・セギュール(赤)
1996年
「ハンニバル」で再び逃避行のレクター博士が、機中、ディーン&デルーカのランチボックスに供したのが、このサンテステフの96年もの。
アルザス・リースリング・クロ・サンテューヌ(白)
2000年
「ハンニバル」のクライマックス、最後の晩餐で脳味噌料理に用意された"アルザスのロマネ・コンティ"と称される畑の白ワイン。
シャトー*ペトリュス(赤)
1972年
「レッド・ドラゴン」でボルティモア交響楽団のフルート奏者、ベンジャミン・ラスペイルの膵臓と一緒にご賞味。作中でしばしば登場する、現在ボルドーで最も高い価格で取引
されるワインのひとつ。
※作品内に登場したものと年代に相違あり(想定)
ワイン・グラス
「RIEDEL」社製
http://www.riedel.com/html/800.html
400/16 ブルゴーニュ・グラン・クリュ、400/7 モンラッシェ
スイーツ
脳スイーツ(モンブランの脳みそ仕上げ、ジュレ掛け)
音楽
バッハ「ゴールドベルク変奏曲」
ピアノ : 作曲家、ハーピスト 朝川 朋之(あさかわ ともゆき)
http://hw001.gate01.com/uuu/
T,Tomonaga.
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