司会イントロダクション
「愛の賛歌」(原題 : Hymne a l'amour[1949年])を歌われていたエディット・ピアフさんの47年間の人生、その半生を綴った物語が完成いたしました。この作品はフランスで2月に公開され、なんと8週間で500万人が観たと言う…考えてみますと10人に1人が観ているというそういう計算になります。
そしてヨーロッパ、アメリカへとこの作品は伝わっていき、大ヒットを記録しました。また7月に行われましたハリウッド映画祭のブレークスルー女優賞をはじめとして、既に3つの賞をマリオン・コティヤールさん獲っています。そして来年のアカデミー賞でも、もしかしたらと言う噂になっているくらいの素晴らしい作品になっています。
「愛の讃歌」「ばら色の人生 La Vie en rose (1945年)」「水に流して Non, je ne
regrette rien (1956年)」
さまざまな名曲を次々と送り届けてきた素晴らしいエディット・ピアフさんの半生…この映画は9月下旬の公開になります。
それでは早速本日のスペシャルゲストのお2人をお迎えします。オリヴィエ・ダアン監督そしてマリオン・コティヤールさんです、どうぞ!
登壇者挨拶
ダアン監督 : 今回の来日はもう3,4回目になります。いずれも映画の紹介のために来日していますが、以前日本人ミュージシャンとの仕事で来日したこともあります。
司会 : 今回『エディット・ピアフ 愛の賛歌』で久々に来日されましたが、どんなお気持ちですか?
ダアン監督 : この『エディット・ピアフ 愛の賛歌』が日本の方たちにどのように理解をされそして受け入れられるのか、とても気になっています。是非気に入っていただけたらと願っています。
司会 : はい。ありがとうございました。続きましてマリオン・コティヤールさんにお願いします。
コティヤール : 私は今回の来日で2度目になります。1度目も2度目もやはり仕事での来日になりますので、残念ながら散歩をしたり東京の街で迷子になったり…という楽しみ方が出来ません。
ただ、今回取材を受ける中で日本のジャーナリストのみなさんの質問が、海外の様々なインタビューに比べて少し違ったりすることが、印象的で楽しみな一時になっています。それから日本の感性は洗練されていてとても気に入っています。
司会 : はい。ありがとうございました。
Q&A質疑応答
では司会の私から先ず質問させていただきます。
オリビエ・ダアン監督への質問です、本国フランスは勿論ヨーロッパやアメリカでもこのエディット・ピアフ、大ヒットしました。ご自分ではこのヒットについてどのように感じていますか?
ダアン監督 :映画が評価され成功を収めたと言うのは大変喜ぶべきことです。そして意外な事だと驚いています。脚本を書いたり撮影の最中には、まさか自分がこの映画を携えて世界中をPRして回るとは思ってもいませんでした。
司会 :マリオン・コティヤールさんへの質問です。作品の中でまるでマリオン・コティヤールさんじゃないみたい!…と思ってしまうくらいの見事な演技でした。ですから来年のアカデミー賞への期待も実際に高まっていますが、ご自分でこの点についてどう考えていますか?
コティヤール : まずお褒めの言葉ありがとうございます、とても嬉しいです。アカデミー賞最有力候補の一人と言われることに私は何か説明するのは難しいことで、最初にその話を耳にしたときに抽象的でどこか他人事のように聞いていました。
しかしその話が徐々に現実味を帯びるようになると、やはりワクワクした気分になるのを抑えられません。女優になってデビューした頃にはまさかこんな事になるとは想像もしていませんでした。
アメリカの俳優の方々を私はやはりとても尊敬していますから、そういった方々と一緒に賞レースに臨めるようになた事はとても嬉しいです。
司会 : はい、ありがとうございます。私から最後の質問です。エディット・ピアフという実在した人物を映像化するにあたり、ダアン監督はどんな部分を意識したのか、またコティヤールさんは彼女を演じるにあたり何か不安があったのか、こんな風に演じたいと言う拘りなどが有ったのかを聞かせてください。
ダアン監督 :演技者側は勿論、撮影監督、美術、衣装といったスタッフまで含めてみんなが映画製作に100%の全力を注いでくれました。現場にはそうした人たちみんなが一体となって、大きなエネルギーが生まれました。映画をご覧になればその事も伝わると思います。特にマリオンは素晴らしく、見事エディット・ピアフの役柄に応えていました。
コティヤール : 実を言うと私はこの映画に関わる以前には、エディット・ピアフという人物の人生については良く知らなかったのです。勿論フランス人として生きる中で彼女を知らずにいる事は出来ないほど有名な歌手ですから、歌は数曲か知っていました。でも彼女がどんな人生を過ごしたのかは殆ど知りませんでした。この映画のシナリオを読んだ事で初めて彼女の人生に触れたのでした。
ですからこれを始まりに、彼女についての色んな本を読んで準備を進めました。インタビューに答える彼女の映像を見たり映画を観て少しずつエディット・ピアフの人生を見出していきました。そうする中で自分と彼女との親密な気持ちが湧いてきました。具体的にその説明をするのは難しいのですが、親密感を持てるようになってからは余りに偉大な彼女を演じることへの過剰な気負いや、プレッシャは無くなっていきました。
実在した大スターを演じるにあたり、当然みなさんが頭の中で抱いているはずのエディット・ピアフ像を壊さないように頑張らねばなりませんが、自分がアイドルとしての彼女に成り代われるのかどうかそうした不安は全く無かったです。
司会 : はい、ありがとうございました。ではみなさんからの質問を承ります。
Q : マリオン・コティヤールさんはエディット・ピアフの20歳台〜40歳台晩年と大変幅広く演じました。ご自身の中では一体彼女のどの辺りの年代に惹かれましたか?
コティヤール : 確かに一人の女性の半生をこれだけ長い期間を演じるというのは女優としては願っても無いチャンスだと思っています。一人の同じ人物なのですが、やはり年代を追うに従って個性が変わっていきます。それを演じる大変なチャンスを頂けた事に感謝しています。
20,30,40歳台とこの世代の中でどの時代が自分にとって"あぁ〜ここは大丈夫かしら…"と不安を覚えたのは、やはり40歳台ということでした。それは、まだ私の未知の世代と言うこともありますし、しかも彼女は47歳という若さでこの世を去ってしまいます。
その上彼女が亡くなるときには実年齢よりももっと20歳くらい歳を取ってしまったかのような容貌となっていました。ですから少し歳を取った女性を演じる上で、彼女の中に存在する私の知らないピアフの素晴らしいエネルギーを見つけ出しては、それらを自分流に上手に配分バランスさせていきました。
それでも始めは不安でした。でも、自分と40歳台のピアフの何か一致する点…こうすれば良いんだという目印を見つけられた時点でその不安が一変して大きな喜びへと変わっていったのです。
自分が今まで知らなかった人物を演じ切れるのか自分自身の未知な部分も含め心配が大きかっただけに、クリア出来たその喜びはとても大きかったですね。
そうしたことも有って、40歳台の時のピアフの撮影が映画を通して一番印象に残っています。
Q : 彼女と実際のマリオン・コティヤールさんとで似ていると感じるところ或いは違うところがありましたらお聞かせください。
コティヤール : 彼女も私も自分の仕事、芸術性に対しての情熱はとても強かったと思います。そして演じる者と観客とで如何に感動を共有出来るようにするか、そういったことにも気を遣っていたと思います。多くのアーティストたちもそのように思っているはずですが、感動を分かち合いたいと言う強い気持ちは彼女と私で共通していると思います。
また、相違点も沢山有りまして、特に孤独に対して対照的でしょうか。私は孤独
と言うことにはそれほど怖くないですし、どちらかと言えば孤独を好むほうです。しかしエディット・ピアフは全く逆だったようで彼女は独りにされることから逃れるように暮らしていました。
それと歌への情熱が強い余りしばしば度を越すことになりました。ひいては自分の健康を害してまでステージに立ち歌いつづけたい…ステージに立てないと私の生きている意味が無い…というような暮らしそのものも破滅させてしまう程芸術に一途だった面がありました。
私もそうした職業としての情熱を人一倍持っていますが、もし女優を辞めたとしてそれで悲しい気持ちにはなっても彼女のように自分の存在理由を失ってしまうようなことは無いでしょう。女優と言う職業の為に健康を失ってまで…という破滅的な発想は出来ません。
そうした面では彼女とは大きく違うと思います。
コティヤール : ピアフを自分のものに出来た瞬間について、繰り返しになりますがもう少し話しますと…
撮影の始まった数日間は難しいものは無く進みましたが、4日目辺りからはもう40歳台のピアフを撮る事になってました。1960年のシーンで、身体はすっかり弱り髪色も変わってというふうに、合わせて直ぐに歳をとらなければならない状況です。
1週間くらいはなかなか自分の中の目星がつかず、やや試行錯誤のなかの1週間でした。しかし余り深く考えなくてもコレで行けそうだわという瞬間は自然とやってきました。事前の準備を綿密にしっかりしておくことは大事ですが、その上で実際の撮影に入ったら頭で考えずに身体ごとぶつかっていけるかが重要になってきます。
そのように心がけていたせいか、試行錯誤していた不安感は割りと早い時期に喜びの瞬間に変わってしまいました。この瞬間と具体的に言えないのですが、進めていく中で自然に訪れてくれました。
司会 : どうもありがとうございました。時間の関係で以上で来日記者会見を終わります。(以降フォト・セッションへ)
司会進行 映画パーソナリティ 伊藤さとり
登壇者(登壇順敬称略) マリオン・コティヤール、オリヴィエ・ダアン監督、通訳
ひとみ(マリオン・コティヤール付き)、つつみ(オリヴィエ・ダアン監督付き)
2007/8/22都内ホテル T,Tomonaga.
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