サマリア (Samaritan Girl)

■監督・脚本・編集・美術監督 キム・ギドク)

■出演 クァク・チミン、ハン・ヨルム、イ・オル

■製作総指揮 キム・ドンジュ

■プロデューサー べ・ジョンミン

■撮影 ソン・サンジェ

■音楽 パク・ジウン

<ストーリー>

ヨジンは父とふたり暮らしの、どこにでもいるような普通の10代の少女。そして、彼女の親友チェヨンもまた普通の10代の少女。でも、援助交際をしている。ヨジンはそれを嫌いながらも、親友チェヨンのために"見張り役"を買って出る。そんな矢先、ヨジンが見張りを怠った隙にホテルに警官の取締りが・・・その手から逃れようとチェヨンは窓から飛び降りてしまう。幸せそうな微笑みを浮かべたままチェヨンは死に、ヨジンはその笑顔を守るために稼いだお金を客に返すことを決心する。そして、そんな自分の行動を父親が見守っていることに、ヨジンはまだ気づかずにいた・・・
ふたりの少女の憧れにも似た友情"を軸に"人間の痛みや悲しみ"を堂々たる演出力で描き出す。キム・ギドク監督が紡ぎだした"残酷で美しい物語"

<プロフィール>

クァク・チミン(ヨジン役)
 1985年2月13日生まれ。言葉を使う仕事をしたい、と高2のときに母親を説得し芸能界に入る。ドラマ「私の美しい初恋」、「ちゃんと生きろ」、映画『狐階段』に出演。高3で『サマリア』のオーディションを受けたが、キム・ギドク監督作品のほとんどが韓国では18歳以下観覧不可のため、それまで一本も見たことがなかった。オーディションでは、外見と内面のアンバランスさが鬼才監督の心を捉え、初の大役を得る。彼女は、撮影直前までキム・ギドク監督について「周りからいろいろ聞かされ、恐ろしい監督かもと怖じ気づいていた」と言う。'03年10月に11日間で撮影が順調に完了。彼女がモデルになったポスターが、センセーショナルな話題を振りまいた頃には、彼女自身は受験勉強に没頭していた。'04年2月には今作がコンペ部門に出品され、10代の韓国人俳優として初めて、ベルリン国際映画祭のレッドカーペットを踏んだ。この時世界のマスコミから、韓国人初のヴェネチア映画祭主演女優賞受賞俳優にちなみ、"第2のカン・スヨン"と呼ばれた。ベルリン映画祭銀熊賞受賞後は、「気持ちがすごく軽くなった。高校の友人たちの誤解もすっかり融けたみたい」とコメントしている。ベルリン映画祭参加のため高校の卒業式には出席できず、殺到するオファーには受験勉強で応えられなかったが、大学進学後に芸能活動を再開。ドラマ「恋をしようか」、韓国で'05年公開予定の映画『レッド・アイ』に主演している。
 ヨジンは父親と二人暮らしで純粋な心を持つ少女。チェヨンの代わりに援助交際の約束を取り付け見張りをし、お金の管理をするが、援助交際をする男性たちを憎悪している。しかし、チェヨンが死んだ後、彼女が出会った男たちに、お金を返すことで彼らを許すようになり、男たちはヨジンと出会うことで、生の真の意味を悟る。

ハン・ヨルム(チェヨン役)
 1983年10月25日生まれ。高3の時、ソウルの繁華街ミョンドンで遊んでいるところを雑誌記者にスカウトされる。数々の雑誌の表紙を飾りCMに出演しながら、演技の世界へ進む。インターネット映画、ドラマ「サンドゥ、学校に行こう」、「ニューノンストップ4」に出演。以前からキム・ギドク監督作品が好きだったため、『サマリア』のオーディションには大きな期待を持って挑んだ。実年齢よりもベビーフェイスで、オープンなキャラクターが監督の思うチェヨンのイメージと一致し、役を射止めている。撮影中は、チェヨンにしっかり同化したいと思っていたが、監督から「そう、そんな風に笑ってて」と言われるたびに、キャラクター作りよりも自分とチェヨンとの境がなくなる様で不安になり、役に向き合うのが恐くなったほど。チェヨンの笑顔の裏にある悲しみを、みごとに表した。『サマリア』後に映画のオファーが押し寄せたが、現在は念願のファッションの勉強に打ち込んでいる。本作には本名のソ・ミンジョンとしてクレジットされているが、出演後、ハン・ヨルムと改名した。
 体を売る行為を通じて、男たちに仏教の教えを伝えたというインドの女性、バスミルダ。チェヨンはバスミルダを気取り、ためらいなく援助交際をする女子高生だ。彼女にとって体を売るつかのまの時間は、相手の男性と共感する瞬間。ほんの短い時間であったとしても温かな母性で、自分と関係した男性を包み込むチェヨン。ヨジンは客の男たちを不潔だと感じるが、彼女はそんなヨジンを逆に慰めいたわる。

 

クァク・チミン、ハン・ヨルム 来日記者会見

2005年1月20日、東京渋谷セルリアンタワーにて韓国の奇才キム・ギドク監督に大抜擢された新人女優、クァク・チミン、ハン・ヨルムの来日記者会見が行われました。

司会 : サマリアの主演女優、クァク・チミンさん、ハン・ヨルムさんです。どうぞ ! 大きな拍手でお迎えください。 お二方からお一人ずつご挨拶をいただきましょう。

クァク・チミン : こんにちは。私はクァク・チミンです。(日本語で)

ハン・ヨルム : ハン・ヨルムです。こんにちは。(日本語で)

Q : クァク・チミンさんは、来日なさってからしばらく経っていますが、日本の印象はどうですか?

クァク・チミン:日本の皆さんに親切にしていただき、こちらが戸惑うほどやさしくして下さって感謝しています。ここまで歓迎されると思っていなかったのでとても嬉しいです。記者の方々も映画をしっかりと見て、待っていて下さってありがとうございます。

Q : ハン・ヨルムさん、かなりたくさんの記者の方が一斉に写真を撮っていましたが、今のこの会見の状況について感想をお願いします。

ハン・ヨルム : 今、とても緊張しています。『サマリア』にこれほど多くの関心を寄せていただいてとても嬉しく、また感謝しています。

Q : 鬼才と呼ばれるキム・ギドク監督からは、それぞれ役について撮影中にどのようなアドバイスがありましたか?

クァク・チミン : 私は、演技をするのも、映画に出演するのも、主人公を演じるのも全く初めての体験でとても緊張していました。また、キャラクターの分析をする時間がありませんでした。出演が決まってからすぐの撮影だったので、いろいろと準備をする時間的余裕が無かったのです。なので分からないところは監督に何度も質問しました。監督の答えは、全て君に任せるから、現役の高校生だから良く分かるでしょ、ということでした。また、監督からは私生活のことについて聞かれ、そのことを話しているうちに段々自分でも疑問点の答えが分かってくるようになりました。そのように私に答えを分からせてくれた監督にはとても感謝していますし、俳優から見てもとても立派な監督さんだと思います。

ハン・ヨルム : 私も『サマリア』に出演して、初めて演技をしました。とても緊張していたので、監督にはたくさん御迷惑を掛けてしまったと思います。しかし監督は普段の私が良く笑う姿を見て、私がチェヨン役にあっていると思い起用して下さったようです。なので監督の方からアドバイスをすることはあまり無かったのですが、居心地の良い現場になるよう努力をして下さり、演技については自分のスタイルでやりなさいと言ってくれました。

Q : 映画の中では、とても仲良しの二人でしたがお互いの印象を教えて下さい。

ハン・ヨルム : 初めてクァク・チミンさんに会った時の第一印象は、とても冷たい感じで、近寄りがたかったです。でも、キム・ギドク監督の映画は撮影時間がとても短いので、とにかく早く仲良くならなければならないと思い、できるだけ親しくなれるよう努力しました。また、チミンさんはどんなときにも緊張せず落ち着いている女の子だと思います。私は、緊張してしまうと突拍子も無いことを口にしてしまいます。今もとても緊張していますが、緊張すると頭で考えていることと口から出る言葉 がずれてしまい全く違うことを話したりしてしまいますが、チミンさんはどんな状況に置かれても冷静沈着な方です。そういった点は見習いたいと思います。

クァク・チミン : 私はハン・ヨルムさんより先にキャスティングをしていただき、脚本も読んでいたのですが、私が読んだシナリオの中のチェヨンという女の子は映画とはちょっと違い、背が高くて、大人っぽく、言葉遣いも大人びている、一言でいえばセクシーな女の子というイメージを抱いていました。なので実際にハン・ヨルムさんを見た時は、少し意外でした。とても可愛くて、良く笑う女の子だったからです。でも撮影が始まってからは、最初にシナリオを読んで抱いていたイメージのチェヨンよりも、ハン・ヨルムさんが演じる方があっているのではないかと思います。映画の中のチェヨンと同じように普段は良く笑って明るい女性です。今でもとても仲良く、親しくしています。

Q : 撮影期間は短かったということですが、一番思い出に残っていることを教えて下さい。

クァク・チミン : 私は『サマリア』の撮影中に大学受験があり、撮影の合間を縫って勉強をしようと問題集を持ち歩いていたんです。ところが、現場に行ったら寝る間もご飯を食べる暇もないくらいきついスケジュールで、問題集にさわることさえできませんでした。なので少し試験に影響したのではないかと思いますが、短期間で撮ったからこそこの演技ができたと思います。同じシーンを何度も繰り返して演技すると、どうしても感情のラインが崩れてしまうのです。監督も私達の感情表現をうまくキャッチして映画の中に取り入れてくれたと思います。

Q : ちなみに受験は無事終了したのでしょうか?

クァク・チミン : 本当でしたら、去年大学生になっていたはずだったんですが、先ほど話したようになかなか受験勉強をする時間が無かったので受験には失敗してしまいました。映画を撮った後の数ヶ月間は役柄を引きずってしまい少し憂鬱な期間が続いたんです。役どころが憂鬱だったこともあってしばらく笑うことも外出もできず、人が変わったようになってしまいました。しかし、その後一年間、演技の勉強もして、一生懸命勉強もして今年は大学に受かったので、3月から大学生になります。

司会 : おめでとうございます。受かってよかったですね。

クァク・チミン : ありがとうございます。

Q : ハン・ヨルムさんの『サマリア』での一番の思い出は何ですか?

ハン・ヨルム : 私は、『サマリア』の思い出というよりエピソードになります。今回の撮影は11日間でしたが、その中で私の出番があったのは5日間でした。その5日間の最初の3日間は訳も分からず撮っていたので、あっという間に終わってしまいました。残りの2日間で演技とはどういうものか知ろうと思ったのですがその2日間もあっという間に過ぎてしまいました。そして、この映画に出演して何より嬉しかったのは、監督がベルリン映画祭で監督賞を賞をとることです。あまりに嬉しくて気絶しそうになりました。

Q : 映画のようなことは実生活では経験されていないと思いますが、役どころの感情の動きや行動をどのように受け止めて、どう理解したのでしょうか?

クァク・チミン : 実は日本に来て、二人の女子高生の間に恋愛感情があったのではないかという意見を聞いてとても驚きました。スタッフをはじめ監督ももちろんヨジンとチェヨンの間に恋愛感情があるとは全く思ってなく、同性愛という見方は撮影中も想像もしていませんでした。ヨジンは母親がいなく、父親と二人だけの家庭に育ちましたので、父親の次に大事なのが友達のチェヨンであって、チェヨンはヨジンにとって人生の一部とも言えるわけです。ですから、親友に対する思いがとても深く映画に表れていたと思います。監督とのやり取りの中で、私生活の部分を色々聞かれたと先ほど話しましたが主に聞かれたのは、何歳の時にどういうことがあったのか、今までの悲しい思い出、楽しい思い出などを聞かれ、少しずつ思い出すうちに段々と自然にヨジンの気持が分かるようになりました。ヨジンはこのときこう思っていたのかなと私が答えを見つけると、監督はそれをキャッチして撮影を始めようかと言ってくれたので、私の気持を読むという点で監督さんはすごい方だと思いました。

ハン・ヨルム : 隣にいるチミンさんは、映画の中のヨジンととても似ています。チミンさんも少し保守的なところがあるのです。先ほどのインタビューでお互いの考えがはっきり分かったのですが、チミンさんは援助交際は何があっても絶対にダメという考えで、私の方はチェヨンと似ていて悪いことだとは思うけれど、援助交際をしてしまうことも在りうるという考えです。また私は、なぜ援助交際に至ったのかという過程に目を向けます。援助交際はお金を出して性を売り買いするものですが、売る側の女性が何故お金が必要なのか考えてしまうのです。只単にお小遣いが必要なだけではなく、例えば家が貧しいとか、両親のどちらかが入院したのでその入院費を払わなければいけないとか、自分の叶えたい夢があるけれどもお金が無く、また若くして稼げるとなると方法は援助交際しかないし、そういう意味では援助交際はありという考えなのです。もちろん悪いとは分かっていますが、頭ごなしにダメだと言えないとも思います。

クァク・チミン : でも映画の中のチェヨンは、旅行に行きたくて援助交際をしてましたよね。

Q : 日本の、俳優で好きな人はいますか?

クァク・チミン : 私が好きな方は、松嶋奈々子さんです。韓国で人気があるのは木村拓哉さんです。木村拓哉さんが出たドラマはたくさん紹介されていて、ウォン・ビンさんとも似ていると言われています。また、木村拓哉さんが出演したCMも流れているので、韓国ではすごく人気があります。

ハン・ヨルム : 私は最近『花とアリス』という映画を見たのですが、最後に出てくるバレエのシーンがとても印象的で、アリス役だった蒼井優さんがとても好きになりました。

Q : 今回大役に大抜擢されましたが、主役を演じて女優としての手ごたえや成長は自身感じたでしょうか?

クァク・チミン : この映画に出演したことで私はとても成長したと思います。今回は端役や小さな役を経ずに、いきなり初めての映画出演で主人公を引き受けるということで、すべての映画の流れが自分に掛かっているということでとてもプレッシャーを感じていました。キム・ギドク監督の映画は出演するとすごく苦労するよと言われていたので、乗り切れたという手ごたえも感じています。考え方の面でもだいぶ変化がありました。以前はどうしても親に頼っていたのですが、この映画の出演で自分に責任を持って自分なりの考えで色々なことを決められるようになりました。女優としては、映画の中で可愛く映るきれいな役ばかりを夢見ていたのですが、この映画のおかげで女優として演技力で認めて欲しいという欲も出ましたし、これからも良い役をどんどん演じたいと思うようになりました。

ハン・ヨルム : 私も『サマリア』に出演することで、内面がだいぶ成長したと思います。考え方もとても自由になったと思います。以前は人の目を気にしていたのですが、今は特に人にどう思われてもあまり気にしないようになりましたし、自分自身に自信が持てるようになりました。以前はそれほど目標を持っていなかったのですが、この映画をきっかけに、本当に良い女優になりたいと思いますし、独特な魅力のある女優になりたいとう欲を持てるようになりました。

Q : 韓国の俳優さんで尊敬している方とか共演してみたい方はいますか?

クァク・チミン : 日本でも公開されると思いますが『大統領の理髪師』に出演しているムン・ソリさんを目標にしています。彼女はとても演技力があると韓国で認められています。普通、俳優というのは、自分の決まったイメージにこだわってしまい似たような役をやるのがほとんどですが、彼女は自分の殻を常に破ってヴァラエティに富んだ役柄もこなせる女優さんだと思います。私もそのようにいろいろな役を演じられる女優になりたいと思います。共演してみたい俳優さんは、ヤン・ドング ンさんや私より年はかなり上ですがソン・ガンホさんとも共演してみたいと思います。ソン・ガンホさんならば父親と娘という設定もいいかなと思います。

ハン・ヨルム : 私は特に目標としている女優さんはいないのですが、あげるとするとチョン・ドヨンさんが好きです。私からすると先輩ですが、彼女はとても個性的でいろいろな魅力を見せてくれる女優さんだと思います。好きな俳優、女優さんはあまりにも多すぎるので、そういった俳優さんたちから少しずつ魅力を自分の中に取り入れて私なりの独特な魅力のある女優になりたいと思います。共演者に関しても、特定の人とではなく、とにかく好きな俳優さんがたくさんいるので、機会があればそれぞれ共演してみたいと思います。

Q : ハン・ヨルムさんにお聞きします。ホテルから飛び降りたシーンの後でも笑みを浮かべていますが、それは監督の指示だったのか、ご自分の判断だったのですか?

ハン・ヨルム : 実は私が、この映画に関して一番多く受けた質問が、「どうしてあなたはいつも映画の中でそんなに笑っていたの?」という質問でした。私も演じながら、もうそろそろ笑うのをやめようかなと思うことがありました。でも、監督からはチェヨンは常に笑っていた方が良いという指示がありました。それもあったんですけれども、自分もやはり彼女は笑っているべきだと思ったのです。なぜかというと、彼女は幸せだから笑っていたのではなかったと思うからです。この時代を生きる大人たちへの警告としての笑いだと思っています。

Q : クァク・チミンは、父親役のイ・オルさんと共演しての感想をお聞かせ下さい。

クァク・チミン : イ・オルさんと最初に共演するとき、彼は私よりかなり年も上ですし、経歴もたくさんあるベテランの俳優さんで、私からすると先生にあたる方ですので、とても戸惑って緊張していました。でも、実際に演技をしてみると実の父と思える程温かい方でした。それにより、私の緊張もほぐれ、実の父親の雰囲気とも似ていたので、益々親近感を感じました。イ・オルさんは映画の中と同じく本当にやさしい方で、更にタフな面も持っておりとても素敵な俳優さんだと思います。今でも時々会うのですが、いまだにパパと呼んでいます。

 

 

 

『サマリア』
2005年春、恵比寿ガーデンシネマにて公開 !

配給:東芝エンタテインメント


>> オフィシャルサイト


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「サマリア」プロモーション画像より

↑ヨジン役のクァク・チミン

↑チェヨン役のハン・ヨルム

 

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