音楽だけでなく映像作品の創作活動にも積極的に取り組んでいるヴァイオリニスト、葉加瀬太郎氏が今回初めて本格的に音楽と映像のコラボレートを試みた最新DVD「bloom」を発表。
このDVD製作で葉加瀬氏は、タイトルの意味するままの次世代を担うであろう若手たちに大いなる飛躍をするためのチャンスを与え、また自身はその活動原点に立ち返り、更なる飛躍を確信することとなった。その製作発表記者会見の模様を伝える。
2006/2/16 御茶ノ水デジタルハリウッド大学院
司会 GAGAコミュニケーションズ 所(ところ)
(会見に先立ち約5分間の「bloom」プロモーション画像を上映)
司会 : では「bloom」の製作に携わった中心人物3名をお呼びしましょう。
「bloom」音楽監督 葉加瀬太郎
同、企画・製作の礎、デジタルハリウッド大学大学院学長 杉山知之
同、映像監督 船戸賢一 デジタルハリウッド大学院第1期修了生、本作企画・製作のプロジェクトクロス代表
以上の3名が登壇。
司会 : 本日無事に製作発表記者会見を迎えた感想と、全国の皆さんに向けて一言ずつメッセージをお願いします。まず、葉加瀬さんからお願いします。
葉加瀬 : 葉加瀬太郎です。本日はお忙しい中本当にありがとうございます。先ず何より製作発表会に辿り着けたのがとてもとても感慨深く感じています。
この企画は何よりも学生たちが如何にして世の中に関わって行くかという、そうしたことが根底にあって始まりました。僕自身も学生として音楽をやっていて、そしてこれからどうやって音楽で世の中に出て行けるのか、色々と苦しんだ経験があります。そんな事もあってこの企画を頂いた時には、喜んでお仕事させて頂きたいと思いました。本当に素晴らしい作品が出来つつあります。きょうはその一端を皆さんに感じて頂いてそして世の中に大きく知らして頂きたいと思っております。宜しくお願いいたします。
杉山 : はい。大学院と言うものを僕達が創って、ぜひその中でプロフェッショナルの方々と色々なコラボレーションする場を持ちたいと思っています。そうした流れの中で「bloom」を製作した船戸さんが葉加瀬さんと学生時代にも仲間だったというご縁もあって、このようなプロジェクトが始まりました。
私自身はもう何十年もオーディオの世界で生きている者なのですが、最近ではオーディオとヴィジュアル(A/V)というものの境界がなくなって一緒になってきていて、ホームシアターといったものも日本で流行ってきています。その中で画像は勿論、良い音でA/Vを楽しむ方が増えています。
この作品はそうした中で音楽主導の、素晴らしい音楽が在ってその音楽の世界が更に広がるような映像が付加されるという、今までに無い新しいコンテンツだと思っています。ですからこれまでのA/Vファンの方々も広くこのDVDコンテンツを楽しんでもらえると良いなと期待しています。
船戸 : 船戸です、宜しくお願いします。
このDVD「bloom」は葉加瀬くんとのコラボレート作品という事で、CG担当のアーティストがそれぞれ自分の力を出し切るよう、彼の曲からイメージしたものを自由に思いっきりやってもらうという…そんな感じのコラボレートDVDとなりました。
私は彼の曲を昔からずっと聴いてきましたので、やはり素晴らしい映像を付けたいという思いがずっと有りましたが、今回ようやく大学院でのプロジェクトとして出来ることになりました。こうしたチャンスが与えられた中で、今までやってきたことを全て良い形で活かせると思います。尚且つデジタルハリウッドにいるCGアーティスト達の実力を引き出す場を与えてもらいました。その上で映像と音楽のコラボレーション作品を作るという目標でやってきました。このDVDを末永くお楽しみいただければと思います。宜しくお願いします。
司会 : ありがとうございました。続きまして「bloom」について更に詳しく伺っていきたいと思います。ではまずお三方に伺いますが、みなさんそれぞれが担当した事をお聞かせください。
杉山 : 私の方は場を提供しただけというかたちですねぇ(笑)勿論CGアニメーションというのはたった独りで創ることも出来ますが、独りでやるともの凄い作業量になってしまいます。今回はたくさんの楽曲に映像を付けるということになりますから非常に多くのCGアーティストが参加しなければならないので、この東京校だけでなく渋谷校などから是非最後までやり遂げたいという人に集まってもらいました。そしてその製作の場をいかに大学院の中で確保するか、そうした応援的バックグラウンドを支えたと思っていただければと思います。
葉加瀬 : 形としては音楽監督で良いかと思います。
僕が2002年から立ち上げましたHATS(ハッツ)http://hats.jpという音楽レーベルがあります。このHATSのアーティスト達の音楽を上手く使いながら今回目指したDVDを創れないか…という話に最終的になっていきました。
一番初めは何しろこの船戸くん…僕とは大学時代から一緒で、例えば大学の学園祭を作る仕事をしました。僕は実行委員長を務めまして船戸くんは僕のもとで色々な仕事をしてくれたんですが、そうした関係の中である日突然彼から電話がきました。
「君の音楽に映像を付けたい」と、非常にシンプルな内容だったんですね。僕自身も音楽を作っていますと、勿論色々な映像アイデアは浮かんできます。その中で例えばプロモーションビデオやミュージックビデオみたいなものを作る事もあるのですが、インストゥルメンタルの音楽であるが為に"ヘタなイメージ"を喚起させてしまうモノ、映像、を付けるというのは非常に危険なんですね。なので今までなかなかそうしたがっぷり四つで映像に取り組む事をやってこれずにいました。そこに船戸くんからCGというアイデアを頂きました。CGの世界では無限に広がる宇宙だって描く事も出来ますし、一つの楽曲に対するいろんなイメージを描く事が出来る…
ああ、と、ここに私は可能性を感じまして、それを船戸くんと作っていこう、それをデジタルハリウッドの学生のいわばカリキュラムの一つとして、大学院のものとしてやってみたいと思いました。
先ほども触れましたが、学生達がこれから世間に出てゆく為の何か窓口といいますか、そのあともいろんな仕事に繋がっていくような場も提供できればですね、僕自身も大いに賛同できますし、HATSというレーベルも巻き込み、DVDにして、そして商品にしてゆくという話になっていきました。
これまで随分と長い道のりがありましたが今日このように発表できまして、僕は嬉しくて仕方ありません。
船戸 : 私の場合は映像監督という事ですが、まずCGのメンバーを集めるというところ、先程ありました製作のきっかけのコンタクトを取った事です。
そもそも葉加瀬さんとは同級生ではありましたが、デジタルハリウッドに関してもCGを学んでいたということもありましてその流れで大学院へも入ったのです。その過程でCGをやっている連中というのはやはり自分の作品を世に出したいという欲求は強くあるものだと分かる。
しかしながら、卒業してから直ぐ会社に就職したりしますと、(余りクリエイティブとは言えない)ルーティンの仕事になってしまいがち…だという事も分かる。そうした中で、卒業したばっかりの連中に、彼らの持てるスキルを活かしつつ思いっきり作品に打ち込む場を与えたいというのがありました。
そして、このようなコラボレートをするにあたりとても重要になってくるのが音楽なんですね。映像と音楽は互いに重要な関係ですが、やはり音楽が素晴らしくないと映像も活きてきませんし。ずっと聴いてきた彼の音楽ですね、かれこれ20年近くになりますがずっと聴き込んできた音楽にこそ、いい音楽を付けてみたいと思うのです。
CGをやる人達もいろいろ集めましたが、彼の音楽を先ず聴いて貰って、「じゃ、どの曲が良い?」という風に進めて、それぞれが自分が手掛けてみたい楽曲をやる…そんな形に持っていけました。
ですから、私のほうからコレやって…と持ち掛けるのではなくて、「みんなで何かやりましょうよ、みんな好きにやってみようよ…」と、そんな風に進めて出来たDVDです。
司会 : ありがとうございます。また船戸さんに質問します。「bloom」は前例の無い全く新しい試みだと思いますが、作品内容に関してもう少し詳しく教えていただけますか?
船戸 : まずHATSのバンバーでインストゥルメンタルの方は4名います。葉加瀬さんの他に、チェロの柏木広樹さん、Fiddler(※1フィドラー・ヴァイオリン)の功刀丈弘(くぬぎたけひろ)さん、そしてピアノのラファエルさんです。この方たちはそれぞれがご自分のアルバムをリリースしていますが、その中からCGクリエイターが聴いて選んだものに映像を付けたのが、「bloom」というDVD作品になります。
司会 : ありがとうございました。では、みなさんに伺います。この度のDVD製作に至るまで、楽しかったこと、大変だった事があればお話頂けますか。
杉山 : まず楽しかったことは…最初にデジタルハリウッドの学生たち受講生たちがワーっと気持ちを盛り上げ、新しい作品作りに向けてモチベーションも高めないとならないと思いまして、お店を借りてパーティーを開いたんですね。で、そのとき葉加瀬さんもちゃんと来てくれまして、そこで若い受講生たちに向けて一緒にやろうね!と鼓舞するように士気を高めてくれました。
こんな風に最初の出会いを持てたのが嬉しかったです。卒業間もない受講生も、葉加瀬さんの人柄やHATSの高い音楽性に触れて、潜在能力を更に発揮できたと思います。だからこそ、「bloom」にある素晴らしい映像美を創造できたのだと思いますし、私はその姿を見ていてとても感動的でした。
葉加瀬 : 思い返しますと、一番初めに船戸くんからの電話で作品の案を聞いたのが1つと、あともう1点「何しろ会わせたい男がいる…」と言われたんです。「君とヘアスタイルとかもかなり共通点のある男が居るんだ」と(爆)
「事を始める前に何しろ校長に会って欲しい」と。…そして一緒に食事をして。
そしたら、もうこれは何しろ面白い。直感です(笑)僕もしょっちゅうコンサートを開いているホールの音響設計をしたのはこんな人だったんだ…とか。
そこから始まって、でもいまこういう仕事をされている。僕も音楽から始まっていろんな事を考えています。文化を創る芸術を創るという事は、音楽からとかスタート点は関係ないんです。1つの志しを抱いてこの3人がけんけんごうごう(喧喧囂囂)しながら何か作っていくことは面白いハズなんです。ここにまず興味を持ちました。
もう1つは杉山校長からもありましたが、学生たちとのパーティーでこんな事がやりたいという意欲、エナジーを再確認できた事なんですね。だからそのパーティーの後、僕は2次会まで行きまして、本当に朝方までみんなは始発を待つ勢いだったりして、そう言えば昔はタクシーなんて乗れなかったなぁ…なんて思い出しながらあれは○民ですか、魚○ですか?(笑)…そうした価格帯のチューハイを飲みながら、「なんて素敵なんだろうな」と、改めて思ったんですね。
僕はデビューして16年目に入っていますが、最近頓に思うのは17,8歳でやりたいと思っていた事を今もやりたいなという事…要するにその頃の志や、やりたかった事というのをひたすらコンティニューしているだけなんです。
これはどんな仕事だってそうだと思うんですが、10年15年続けていると自信めいたプロの意識が出てきます。これは大切なことではありますが、僕は大切だけれど実は下らないことだとも思っています。
もっと大切なことがあって、それは永遠のアマチュアリズムと言いましょうか、「自分は一体何がやりたかったんだ??」という思いを忘れない事だと思うんです。
そこそこヴァイオリンが弾けてそこそこ曲も書けてくると、仕事が仕事を呼んでくるといったような状況になります。でもそれをこなしてるだけだと、もう前に進まなくなる。その事を今回のプロジェクトは再確認させてくれたんです。
学生たちとの仕事の進め方も、「ここまで出来たよ」と言っては船戸くんが毎週のように報告に来てくれて、それを食事しながらお酒を交わしながら全部見せて貰って、「もっとこうしたほうがイイヨ、奴らに言っておいて!」なんて言うと、次には完璧に良くなった新しいものになってくる…
こうした作業は自分の学生のとき僕等がやっていた事と同じだけど、コレが全てを変えると思うんです、文化芸術とか特に。
僕はこの事、何度も言いますが学生の世間への窓口であると同時に、大人達がそれを見たときに、そうだね、こうじゃないとね…と確認しなければならないはずだと信じています。
司会 : ありがとうございました。船戸さんお願いします。
船戸 : いまお話ありましたように、学生のときの気持ちが蘇るような感覚で去年スタートしまして、そのまま勢い付いてここまで来たという感じでした。出だしはざっくばらんにやって楽しかったりもしますが、だんだんクオリティーを上げて上げて…とやってきますと、難癖つけるのも大変なんです(笑)ただ最初にやろうと思っていた映像が良いものであれば、(推敲も)続けられるし、完遂しようという気になります。
正直言って、現在もフィニッシュの作業をやっていますが、今でも良くするアイデアが出されますし、モチベーションも落ちずに来られました。これも"最初のきっかけ"というものが鮮烈だったからだと思います。
司会 : 楽しいお話ありがとうございました。最後の質問になります。
「bloom」ブルームというのは素敵なタイトルだと思いますが、どんな思いを込めて名付けたのでしょうか。
葉加瀬 : 去年2005年、僕の中でブルームというのはずっとキーワードでした。私は8月に銀座と日本橋三越で※2絵画展を開いたのですが、そのときの僕のコンセプトが"Let
the World Bloom"-地球上に平和の花々を咲かせよう-で、一年間ずっと花を咲かせたいという事。根底には勿論反戦、平和への希望もあります。でもそれらをストレートに言葉にするのでなく、一体何をすればよいのか…と。とにかく花を植えて…音楽を作ったり歌を作ったりする事は、即ち(文化の)花を作る事ですから、それを知ってくれた皆さんがどうやったら花を咲かせる事が出来るんだ…ということを考えていくのが、次の世代に繋がる事だと思っています。これはまた学生達がどうしたら社会に出て次の花を咲かしつつ貢献できるかという、そんな事に繋がる象徴として「bloom」ブルームとさせて頂いたのです。
司会 : ありがとうございました。
(以降マスコミからの質疑応答の後フォトセッションへ)
※1フィドラー:主にヴァイオリン楽器で、クラシックに限定されず広いジャンルでの弦の音や、その奏者の呼称
※2葉加瀬太郎 展 "Let
the World Bloom"-地球上に平和の花々を咲かせよう-
http://www001.upp.so-net.ne.jp/project-cross/
T.Tomonaga
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